コンセプトというものについて②

前回は「コンセプトとは何なのか?」というお話でした。

おさらいの意味を込めて、バイキングが開発した過去のタイトルを例にして簡単に説明してみます。
ガンスリンガー ストラトスのコンセプトは「最高に撃ちあいが楽しめるゲーム!」です。

で。前回ブログの続きである「コンセプトが役立つ」とは?
それは、その企画のゲームを実際にを作り上げるときに役立ちます。

ざっくり言うと『やるべき事をやり、それ以外はやらない』を貫くためです。

今回は実際の作り方やゲームデザインの話はしませんが
コンセプトを明確にし、守ることで開発中にブレずに、迷うことなく完成に向かうことができます。

例えば、、先ほどのガンスリンガー ストラトスの場合、以下のようにゲーム企画の骨子をまとめました。

『銃の撃ちあい』が楽しいとは?

【1】ボタンやスイッチでグラフィックだけ銃を撃ってても楽しくない。
     →銃の形をしたコントローラーで撃てるようにしよう

【2】撃ちあいを楽しむために「銃」以外にもマシンガンやライフル
   も使いたいがピストル型のコントローラーだと雰囲気が合わない
     →両手の銃コントローラーを合体させてマシンガンみたいに
      両手持ちになるようにしよう  
     →合体はそれ自体が楽しくなるように「ガチャン!」と気持ちイイ感触にしよう。

【3】敵にも撃たれて、それを掻い潜りながら撃ちあいたい!
     しかし狙うのは1人の敵だけだと、
     どこを撃つべきか? どこから撃たれるか? という工夫が無くなる 
     →1対1の対決みたいなゲームではなく複数人対戦にしよう
     →ゲームセンターの導入規模を考えて4対4にしよう!
      (1店舗に4台以上買って貰いたい)

【4】対戦ゲームなのでガンシューティングゲームと違い、
     10発撃ったら7~8発は避けられるゲームになるだろう
     →弾が当たらないのは単純につまらない  
     →弾が外れてもたのしめるようにしよう!   
     →外れた弾で色々楽しいが起こると良い。    
     →背景の建物が気持ちよくぶっ壊れるとか!そうだ背景物が壊れるようにしよう    
     →どうせ壊れるなら皆が知っている街で大暴れしたい。そうだ実在する有名な街をステージにしよう!

etcetc…

と、こういうように「撃ちあいが楽しめるゲーム」というコンセプトから全てを考えることで
ゲームのあらゆる要素やアイデアを導き出すことがし易くなります。

また、別のアイデアが出てきたときも
「それはコンセプトを実現するために最も有効な手段か? 本当に?」と
ブレなく判別することができるのです!
もちろんコンセプトに合うアイデアはどんどん採用し、合わないアイデアは切り捨てます。簡単にできます。
しかしプロの現場でも、あれやこれやとドンドン関係ない、
コンセプトに繋がらないアイデアやネタをゴタゴタ付け足して
苦労する割に「何が面白いゲームか分からない」作品になることが多々あります。
(多々見てきました)

もちろんアイデアが多過ぎて全てを実現できない時も
「よりコンセプトを満たす良いアイデア」を残して
弱いアイデアを切り捨てるという「優先順位をつける」ことも簡単になります。


このようにコンセプトさえ明確にし、魅力的にすることで

「何を作るべきか? 何が大切か?」が見えるようになり 目指しやすくなるのです。

まぁ、話を聞いただけでは簡単そうなのですが、なかなかできない人も多いわけで。
簡単だと思うのですが。


※番外編
ちなみに「コンセプト」というのが別にゲーム企画だけにあるのではありません。
もっというと、全ての仕事にあります。
なんなら人生そのものにもあるといえます。

よく、やたら長いだけの会議や、何を話しているか分からない会議、
何をすべきかよく分からない作業、など 経験ある人もいると思います。
それは参加者がコンセプトを理解していないか、その仕事にコンセプト自体が無いからです。

そのような時には、主催者か自分にハッキリと聞いてください。
「この仕事のコンセプトは何か?」「この会議は何が目的か?」「なぜそれをするのか?」

それが満たせれば早々に次の仕事に進めば良いのです。

もちろん僕がこのブログを書いていることにもコンセプトがあるのです。


おわり。

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